野球と得失点差


WBC の1次リーグB組で、韓国が台湾に3-2で勝利したものの得失点差で台湾とオランダを下回り、1次リーグ敗退が決まりました。この試合はネットの速報で見ていたのですが、韓国が3-2でリードして9回表に入った時点で、韓国の1次リーグ敗退確定の情報が流れました。一瞬「??」となったのですが、よく考えてみると、この時点で後攻の韓国は9回裏に大量得点することが不可能になってしまった(リードした時点でサヨナラ勝ちしてしまうため)ということなんですね。普段、野球で得失点差を気にする機会がないので、情報が流れるまで全く気づきませんでした。


と、ここでふと思ったのですが……もし韓国が4点差以上の勝利で1次リーグを突破できる状況だったらどうなっていたでしょう?(実際は6点差が必要でしたが。) 9回表に入った時点で3-2。もし9回表の台湾の攻撃が無得点なら、9回裏がなくなって韓国が1点差で勝利となってしまうので、韓国は9回表にわざと追いつかれなければなりません。さらに、9回裏の攻撃で4点差をつけて勝つためには、同点の状況でサヨナラ満塁ホームランを打つしか方法はありません。しかし、台湾からすれば3点差以内の敗北ならOKなので、9回表にわざと3者凡退すればいいわけですし、もし9回表に間違って(笑)追いついてしまったとしても、9回裏に満塁になった時点で打者を敬遠すれば1点差の敗北になるので1次リーグ突破となります。つまり、大量得点を必要とするチームが後攻だと、事実上8回までしかチャンスがないので明らかに不利ということです。


そう考えると、サッカーではおなじみの得失点差は、野球の現行ルールにはなじまないということが分かります。得失点差を争う方式を採用するなら、サヨナラ勝ちをなくして9回裏3アウトまで試合を続行するルールにしないと不公平になってしまいますね。この点は WBC の今後の課題と言えそうです。