2014 NBA Draft


現地時間の木曜(日本時間の金曜午前)にNBA Draftが行われました。今年はルーキー豊作の年と言われており、ドラフト指名を受けた選手がどんな活躍を見せてくれるかが今から楽しみです。(指名順位一覧はこちら。)


トップ2は順当にアンドリュー・ウィギンズとジャバリ・パーカー。怪我の影響で順位を落とすかと思われたジョエル・エンビードが3位で指名され、それ以降も全体的に順当という印象が残る結果となりました。個人的に注目していたミシガン勢は、ニック・スタウスカスが8位でキングス、ミッチ・マゲイリーが21位でサンダー、グレン・ロビンソン3世が40位でウルブズに指名されました。スタウスカスとマゲイリーは思っていたよりも高い指名順位でしたが、ロビンソンは1巡目では指名されず。1年前のドラフトにアーリーエントリーしていれば1巡目指名は確実と言われていましたが、ミシガンでの2年目のシーズンで伸び悩んだ印象が強く、指名順位を落としてしまいました。3人ともポテンシャルは高い選手だと思っているので、NBAでの活躍に期待したいところです。


ヒートはというと、ドラフト前からコネティカットのシャバズ・ネイピア獲得のためにトレードアップを狙っているという噂が流れていましたが、その噂どおり、ドラフト当日にホーネッツ(旧ボブキャッツ)とのトレードでネイピアの指名権を獲得しました。(26位、55位及び2019年2巡目の指名権をホーネッツに放出。) ネイピアは今季、コネティカットNCAA制覇の原動力となったPGで、NCAAトーナメントの最優秀選手に選出されています。


また、ドラフト当日には各チームの指名やトレード以外にも印象的な出来事がありました。ドラフト直前の健康診断で病気が見つかり、バスケットボール選手としてのキャリアが断たれるという悲劇的なニュースが報じられたベイラーのアイゼイア・オースティンが、ドラフト会場に招待され、ドラフト指名を受けたことです。アダム・シルバーコミッショナーは、15位のホークスの指名が終わると各チームによる指名を一時中断し、オースティンを紹介。そして「2014年 NBAドラフトで、NBAはベイラー大のアイザイア・オースティンを指名します。」とアナウンスを読み上げました。それを聞いたオースティンは涙を流し、他の指名選手と同様に壇上に上がってコミッショナーと握手を交わしました。そのシーンがこちらです。


オースティンは既に右目を失明(!)していたにも関わらず、全米屈指のセンターとしてベイラーに入学。2年目のズンを終えた後にアーリーエントリーを宣言し、今ドラフトでの指名が有力視されていました。ドラフト直前の健康診断で発見された病気はマルファン症候群。先天的な染色体異常に起因する病気で、心臓疾患をはじめとする様々な問題を引き起こすとされており、現時点では完治させる治療法がない難病とのこと。特にプロレベルのスポーツでは心臓への負荷による突然死の原因となるため、この病名が宣告された時点でプロとしてのキャリアは断たれることとなります。片目が見えないという大きなハンディを乗り越えてNBA選手となる、そんな夢が叶うと思われていた直前での、まさかの宣告。それがオースティンにとってどれほどショックであったかは想像するのも辛いものがありますが、彼はインタビューの中で、サポートしてくれた人々への感謝、また自分自身の命を「救って」くれた神への感謝を述べています。


今回の出来事は私にとって、NBAドラフト史上で最も心動かされたシーンとなりました。オースティンのバスケ選手としてのキャリアは断たれましたが、彼の第2の人生に幸が多からんことを願うばかりです。