NCAAファイナルを終えて


カレッジバスケットボールの歴史に、また一つ新たな偉業が書き加えられました。


フロリダ 84-75 オハイオステイト


1991、92年のデューク以来のNCAAトーナメント連覇。フロリダ・ゲイターズが再びカレッジバスケの頂点に立ちました。同一スターターでの連覇は史上初の快挙です。NCAAトーナメントでの戦いぶりは、まさに横綱相撲でした。スターター5人の今季のアベレージが、フロリダの強さを如実に物語っています。


ジョーキム・ノア   12.0得点、8.4リバウンド、2.3アシスト、1.8ブロック、FG 60.5%
アル・ホーフォード  13.2得点、9.5リバウンド、2.2アシスト、1.8ブロック、FG 60.8%
コーリー・ブリュワー 13.2得点、4.7リバウンド、2.9アシスト、1.9スティー
トーリーン・グリーン 13.3得点、2.4リバウンド、3.7アシスト、3pt 40.4%
リー・ハンフリー   10.3得点、1.3リバウンド、1.3アシスト、3pt 45.9%


この数字でチームが強くない方がおかしいというバランスのとれた成績です。インサイドを支配するノアとホーフォード、万能選手のブリュワー、アウトサイドからシュートを沈めるグリーンとハンフリー、さらにシックスマンとして6.2得点、3.7リバウンドのクリス・リチャードがいます。どこからでも得点できるオフェンス力に加え、全員が優れたディフェンダーでもあることがフロリダの強さを支えていると言えるでしょう。


一方のオハイオステイトは、アーリーエントリーすれば今年のNBAドラフトで1位指名されることが濃厚なグレッグ・オデンや、同じくドラフト上位指名候補のマイク・コンリー・ジュニアら、1年生を主力とする布陣で今季躍進を遂げ、全米ランキング1位でNCAAトーナメントに望みましたが、最後はチームの完成度、経験でフロリダに及ばなかったという印象です。


さて、見事連覇を成し遂げたフロリダですが、来季はスターター全員がチームを去ることが決まりました。4年生のハンフリーは卒業、それ以外の4人は全員、NBAドラフトへのアーリーエントリーを表明しました。フロリダファンとっては悲しいことかもしれませんが、昨季終了時点でのNBA入りも十分あり得た状況で、全員が連覇を目指すためにチームに留まり、そしてその目標を見事達成したことは賞賛に値するでしょう。


スターターの5人全員がドラフト指名される可能性がありますが、中でも最注目は、昨年のドラフトにアーリーエントリーしていれば1位指名もあり得たノアでしょう。6-11というサイズに加え、体を張って戦うハードワーカーであり、プレイでチームを鼓舞するリーダーシップも備えています。3〜6位あたりでの指名が有力と思われます。私個人的にも、ノアのプレイぶりには心惹かれるものがあります。こういうタイプの選手は大好きなんですよね。イメージ的には、ユドニス・ハズレムを熱血漢にしたって感じでしょうか。(笑) NBAでの活躍を期待せずにはいられません。ちなみに、ハズレムもフロリダ大出身です。


ノアと並んで高評価を得ているのがホーフォードです。6-10の身長で、体格的にもNBA向きと言えるでしょう。今季は得点、リバウンドの両方でノアを上回るアベレージを残しており、サマーキャンプでの活躍次第ではノアより先に指名される可能性もあるでしょう。現状の評価では4〜7位あたりでの指名が予想されています。ブリュワーは、6-9の長身ながらSGとSFをこなせるオールラウンダーです。サイズとシュート力を兼ね備えているうえに、ディフェンス面での評価も高く、彼も10位以内で指名される可能性が高いでしょう。


グリーンは、今季チームNo.1の得点アベレージを残しており、シュート力には定評があります。ただ、6-0という身長はNBA入りのうえではネックになるかもしれません。現状では、2巡目での指名があるかどうか、という評価です。6-2のハンフリーも、シュートレンジの広さはNBAレベルですが、NBAでSGとして生き残るにはサイズ面での不安が大きく、指名されるとしても2巡目でしょう。


デューク以来、15年ぶりのNCAA連覇を成し遂げたフロリダ。歴史のその名を刻んだ選手達が、来季、どんな活躍を見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。