さらば、シャック。ありがとう、シャック。


トレードが正式に成立しました。内容は既報通り、シャック←→マリオン+バンクスの1対2。サラリーのバランスをとるために調整が必要と報じられていましたが、必要なかったようです。


衝撃のニュースが飛び込んできた昨日と比べると、気持ちの整理はつきましたが……やっぱり驚きですね。


シャック放出のニュースを聞いて、初めに思い浮かんだのは、シャックがレイカーズからヒートにトレードされた日のことでした。シャック獲得の見返りとしてヒートが放出したのが、ラマー・オドム、カロン・バトラー、ブライアン・グラント。リスペクトする選手達が放出されたことがショックで、シャックのヒート加入を歓迎する気持ちは、まったく起こりませんでした。(2004年7月11日〜17日の独り言参照)


あれから早3年半。ヒートの初優勝の最大の功労者と言える彼が、こういう形でチームを去っていくことに、悲しみを禁じ得ない自分がいます。なんとも言えない複雑な気分です。思い出をありがとう、シャック。新天地での活躍を祈っています。


客観的に見れば、今回のトレードはヒートにとってプラスになるでしょう。シャックの今季の成績は、平均14.2得点、7.8リバウンドとキャリア最低の数字で、怪我の影響に加えて年齢的な衰えも隠せません。今季も含めて残り3シーズンの契約が残っている彼をチームに留めることは、チーム再建の大きな障害になるでしょう。ちょっと酷な言い方になりますが、トレード要員としての価値が残っているうちに放出することが、ヒートにとっては最善の選択肢だったと言えます。しかも、見返りとして獲得できたのが、リーグ最高クラスのSFであるショーン・マリオンですから、ヒートにとっては大成功のトレードだったと言えるでしょう。


なお、マリオンは今季終了後にFAになれるプレイヤーオプションを有しており、権利を行使することが濃厚です。そのため、ヒートは今オフ、マリオンを引き留めずに他の大物FAを狙うのではないかという声も聞かれます。しかし私は、マリオンとの再契約を優先すべきだと考えています。素晴らしい身体能力の持ち主であると同時に、リーグ屈指のディフェンダーでもある彼は、ヒートのチームスタイルにもマッチするでしょう。今オフにFAになる(プレイヤーオプションを含む)選手には、エルトン・ブランドギルバート・アリーナス、バロン・デイビスアントワン・ジェイミソン、ロン・アーテスト、コーリー・マゲッティらがいますが、マリオンはこれらの選手と比べてもまったく見劣りしません。マリオンは個人的に好きなタイプの選手ですし、是非チームに残ってほしいところです。


一方、シャックを獲得したサンズはというと……うーん、こちらはちょっと微妙な印象ですね。怪我を抱えるシャックが、ラン&ガンスタイルのサンズのオフェンスにフィットできるか疑問ですし、マリオンを放出したことでディフェンス面での不安はますます大きくなりました。さらに、年平均20ミリオンの契約が09-10シーズンまで残っているシャックを獲得したことが、チームのサラリーキャップを圧迫することは必至です。今季開幕前に無償同然でカート・トーマスを放出したことからも分かるように、サラリーキャップの問題はサンズにとって大きな悩みの種ですが、シャック獲得でその問題はますます深刻化しました。サンズにとって、今回のトレードは大きなリスクを伴うものだと言えます。


とはいえ、怪我さえ完治すれば、シャックは今でも相手チームにとって脅威であることに変わりはありません。アマレ・スタウダマイアーとシャックが並ぶフロントコートがうまく機能すれば、一気にチャンピオンの座へ駆け上がることも夢ではないでしょう。現在、大激戦のウエストで首位に立っているサンズが、今後どのような戦いを見せるのか、注目です。