王者 初戦で散る


正直、シリーズが始まる前から嫌な予感はしていました。1回戦の勝者予想ではヒートが勝つと予想しましたが、客観的な予想というよりは、1ファンとしての願望だったと言うべきかもしれません。ヒート優位という声が多いことに疑問さえ感じていました。ただ……まさかスウィープを食らうとは……完全に予想外でした。


「シャックとウェイドが力を出し切らないとブルズには勝てないだろう」と書きましたが、この部分は悪い意味で的中してしまいました。4試合でのアベレージは、シャックが18.8得点、ウェイドが23.5得点ですが、ターンオーバー数はシャックが3.5、ウェイドに至っては5.8と酷い数字です。さらに、シャックのFT成功率は33.3%、ウェイドのFG成功率は42.9%。シャックのFTはいつものこととはいえ、5本すべて決めた第2戦を除くと、4/22で18.2%という凄い数字に。(苦笑) 接戦の終盤でことごとくFTをはずしてしまったのは致命的でした。ウェイドも、ここぞという場面でのショットを決められず、逆にターンオーバーを連発。本来の彼らしい活躍は全く見られませんでした。


昨年の優勝メンバーがほぼ全員残留したヒートでしたが、今オフはチームに大きなてこ入れがあることは必至です。ポージー、カポーノ、EJらがFAになり、モーニングとペイトンは引退の可能性が高いでしょう。悲願の初優勝を成し遂げたチームが、こういう形で最後を迎えることは残念でなりません。


思い返せば、今季はヒートにとって波乱の連続でした。開幕早々にシャックが怪我で戦線離脱し、ようやくシャックが帰ってきたと思ったら、ウェイドが左肩脱臼で戦線離脱。ジェイソン・ウィリアムスも昨オフの手術からの回復が遅れて欠場が続き、ペイトンも故障がち。カポーノは怪我でシーズン後半の多くを欠場し、さらにライリーHCまでもが膝と腰の手術のために一時チームを離れるという非常事態続きのシーズンでした。特に、ウェイドの負傷は衝撃的でしたし、その時点でヒートのプレイオフ進出は難しいと思った人も少なくなかったでしょう。そんな中で、ディビジョン優勝とプレイオフ出場を果たしたことは立派です。特に、シーズン終盤の猛烈な追い上げは見事でした。


優勝を目指して戦ってきた以上、プレイオフで勝てなければ意味が無いと言う人もいるでしょう。怪我をすること自体、プロとしての体調管理が不十分だと考える人もいるでしょう。どちらも正論ですし、反論するつもりはありません。しかし、チーム全体が満身創痍という状況の中で、チームが一丸となり、最後まで優勝を諦めずに戦ったことは、賞賛に値すると思います。たとえ、目標が果たせなかったとしても。


昨年、ヒートファンに優勝の歓喜を味わわせてくれたチームは、今季限りで解体されることになるでしょう。何人の選手が来季もヒートに残留するかは分かりません。しかし、このチームはヒートファンの、NBAファンの記憶の中に生き続けるでしょう。彼らは我々ヒートファンにとっての誇りです。