14年の時を経て


ヒート入りが濃厚と報じられていたジュワン・ハワードが、正式にヒートと契約しました。


ハワードがヒートへ。このニュースを聞いて、1996年オフのことを思い出された方も多いのではないでしょうか。96年といえば、パット・ライリーがヒートのHCに就任し、アロンゾ・モーニングを獲得してから1年後のこと。当時、FAとなっていたハワードに対し、ヒートは7年100ミリオン超の大型オファーを提示し、一度はヒート入りで両者が合意しました。当時23歳だったハワードは、NBAを代表する若手ビッグマンとして大きな期待と注目を集めており、モーニングとのツインタワー形成によって、ヒートもイースタンカンファレンスの優勝候補へと飛躍するものと思われました。しかし、サラリーキャップのルールに抵触するという理由から、NBAがこの契約を認めず、結局ハワードはブレッツ(現ウィザーズ)に残留することになりました。


ハワード獲得に失敗したヒートは、その年の2月にトレードで獲得していたティム・ハーダウェイと再契約。その後、モーニングとハーダウェイの2本柱を要したヒートが、イースタンカンファレンス屈指の強豪チームへと成長を遂げたことは皆さんご存知のとおりです。一方のハワードは、個人としてはまずまずの成績を残したものの、大型契約に見合う活躍を見せられていないという批判を常に受けることとなり、結局00-01シーズン途中にトレードでマーベリックスへ移籍。その後は、10年間で7チームを渡り歩くジャーニーマンとなりました。


もし、96年当時の契約が成立していたら……その後のヒートの歴史は全く違ったものになっていたでしょう。もしかすると、ティム・ハーダウェイがチームに留まることもなかったかもしれません。ヒートにとって、ハワードにとって、あの年のオフが大きなターニングポイントとなったことは間違いないでしょう。


あの夏から早14年。当時若手のホープだったハワードは、37歳の大ベテランになりました。年俸は当時の10分の1以下。今ではチームの顔でもありません。しかし、ハワードが目標とするものは14年前と同じです。悲願のチャンピオンリング獲得を目指して。14年の時を経て、ハワードがヒートの一員として来シーズンのコートに立ちます。