NBAカードの 09-10シーズンを振り返る


Hall of Fame の発売を最後に幕を下ろした、NBAカードの 09-10シーズン。今年は初めて Panini がNBAカードの独占発行権を獲得し、NBAカードの歴史の大きな転機となったシーズンでした。Panini の一社独占には賛否両論あるところですが、私個人としては、Panini のブランドにティム・ハーダウェイのカードが数多くラインアップされたことで、久々にカード収集熱が再燃したシーズンとなりました。私がここまで本格的にカードを購入し、トレードも積極的に行ったのは、05-06シーズン以来のことです。


そこで今回は、NBAカードの 09-10シーズンを振り返る意味も込めて、いろいろな部門でベストだったカードやブランドを私個人の主観で選んでみたいと思います。かなりの長文になりますが、お付き合いください。



【Brand of the Year】



Panini Hall of Fame


殿堂入りしている選手やコーチにスポットライトを当てたブランドです。初代ドリームチームを特集したインサートがラインアップされたことで、多くのコレクターの支持を得ることとなりました。現役選手のラインアップは一切なく、当然RCもないので、誰のRCを引くかで当たりはずれが決まるという最近の多くのブランドとは一線を画しています。現役選手のカードがないという点は好みが分かれるところでしょうが、先人達の功績の上に現在のNBAが成り立っているということを学ぶことができる貴重なブランドです。



【Autograph of the Year】



Panini Hall of Fame Marks of Fame(画像提供:arkさん


NBAカード史上初めて発行された、初代ドリームチームのオートです。ラインアップは、バード、マジック、ドレクスラー、ストックトン、マリン、ピペンの6人。シリーズ収集を目指す人がかなりの数に上っているため、選手を問わず価格が高騰しています。全選手を合わせても289枚しか存在しないため、そう簡単には引けません。6人のみというところが難点ではありますが、話題性と人気の双方で抜きん出ています。今シーズンのベストオートはこれで決まりでしょう。



【RC of the Year】



Panini Rookies and Stars RCAU(画像提供:MAAMAさん


所属チームのロゴマークをあしらったパッチにオートが書かれているという、ユニークなアイデアが光るRCです。価格・希少性のいずれも最高峰というわけではありませんが、優れたデザインから高い評価を得ており、発売当初はオークションでもかなりの高値が付いていました。ちなみに、RC以外に引退選手のバージョンも存在し、ティムもラインアップされています。(→画像



【Tim Hardaway's Brand of the Year】



Panini Certified


ティムのカードのラインアップという意味で、Certified を上回るブランドはありませんでした。500枚限定のレギュラー(サブセット)を皮切りに、Red(250枚)、Blue(100枚)、Gold(25枚)、Emerald(5枚)、Black(1of1)、Gold Auto(10枚)、Emerald Auto(5枚)、Black Auto(1of1)と、総数9種類。たくさんのティムのカードがラインアップされるのは嬉しい限りなのですが、さすがに1ブランドでこれだけ強烈なカードが並ぶと冷や汗が出ました。(笑) 発売直後は毎日朝晩2回、ネットオークションを入念にチェックする日々が続きましたが、おかげさまで 1of1 を除く全カードを入手することができました。(→画像



【Tim Hardaway's Card of the Year】



Playoff Contenders Draft Tandems Black Autos


09-10シーズンは合計31種類(1of1 は除く)のティムのカードが発行されましたが、その中から私が選ぶベストカードがこちら。10枚限定のダン・マーリーとのデュアルオートです。オートは丁寧に書かれており、青インクで書かれているところもカードのデザインにマッチしていて素晴らしいの一言です。同順位でドラフト指名された選手を取り上げているシリーズのコンセプトもユニークですね。(マーリーが1988年、ティムが1989年の14位指名) 選手の写真はドラフト指名されたチームのものが使われているため、2人ともヒート時代の写真ではないことだけが残念です。



【Trade of the Year】



Panini Prestige Bonus Shots Black Tim Hardaway


09-10シーズンは、久々に多くのネットトレードを行うことができました。その一つ一つに感謝の気持ちでいっぱいですが、その中でも最大の収穫だったのがこちら。10枚限定のパラレルで、しかもジャージナンバーという超大物を釣りキチさんからお譲りいただきました。10枚以下のティムのカードをトレードで入手したのは、15年に及ぶコレクター人生の中でもおそらく初めてです。また、Prestige は Panini で初めてティムがラインアップされたブランドであり、この後続々とティムの新作カードが発行されることとなりました。



【Pulls of the Year】



3位 Donruss Elite RCAU Blake Griffin


私が初めて開封した Panini のブランド、Donruss Elite から引き当てました。2年ぶりに Hoop Kids の「大当たりの殿堂」にも掲載され、この1枚が再燃しつつあった私のカード熱に本格的に火を付けることとなりました。(笑)




2位 Panini Limited Freshmen Jumbo Signatures Tyreke Evans


グリフィン、ジェニングスを引き当て、次はエヴァンスだと冗談半分で言っていたら本当に引いてしまったという1枚です。調子に乗って「次はコービーだ」などと言ってみたものの、世の中そんなに甘くはありませんでした。(笑)




1位 Panini Rookies and Stars RCAU Brandon Jennings


そして栄えある1位がこちら。「RC of the Year」にも選んだ ロゴパッチです。Hoop Kids で通販を頼んだ際、最後に残っていた1ボックスを購入するか、翌日入荷予定だった Rookies and Stars Longevity を待つか悩んだ末に、前者を選んで引き当てることができました。



以上、NBAカードの 09-10シーズンを私なりの視点で振り返ってみましたが、いかがだったでしょうか。09-10シーズンはティムのカードがたくさんラインアップされたことで、久々に心底カード収集を楽しめたように思います。コレクター仲間からも「今年は目の輝きが違う」とよく言われました。(笑) Panini には今後も、レジェンドと呼ばれるような大物選手に限らず、90年代以前に活躍した引退選手のカードをたくさん発行してもらいたいものです。


一方で、Panini の1年間の足跡を振り返ってみて思ったのですが、Panini のブランドはどれもそれなりによくできていて大きなハズレがなかった反面、「このブランドは良かった!」と思わせるような大ヒットブランドは少なかったように思います。実際、この1年間で私が2箱以上購入したブランドはありません。今回、私が Brand of the Year に選んだ Hall of Fame も、ずば抜けて素晴らしかったというほどのインパクトはなく、他のブランドと比較した結果、消去法で残ったという感は否めません。


個人的には、Panini のカードはデザイン、カードのコンセプト、選手のラインアップ等、いずれを取ってもレベルは決して低くはなかったと思います。しかし一方で、レギュラーやベース版インサートにジャージ/オート/パッチといったパラレルが存在するというカードの構成や、ホロフォイル一辺倒の加工技術に代わり映えがしなかったことも事実です。このまま同じようなカードを発行し続けていけば、NBAコレクターに新鮮な印象をもって迎えられた Panini ブランドが飽きられるのも時間の問題でしょう。これは、Panini だけの問題というよりも、NBAカードの一社独占という状況そのものの問題と言えるかもしれません。


冒頭にも書きましたが、09-10シーズンがNBAカードの歴史の一大転機となったことは間違いありません。十年後、あるいは二十年後に歴史を振り返ったとき、NBAカードの09-10シーズンは果たしてどんな評価を得ているのでしょうか。